第31回「おかやまじっく」決勝戦: Takashi Yamamoto(岡山) vs. Yuki Hirata(岡山)

※本カバレージは、スタンダードを知らないスタッフによる、カバレージです。過去に「おかやまじっく」としてリリースしてきた各カバレージに比べ、お見苦しい点があることを、前もってお詫びするとともに、これにこりず、スタンダードを知らなくても、がんがんカバレージの執筆にチャレンジし続けます。(かずなり)

2018年3月18日、来週にグランプリ京都を控えた日曜の昼下がり。14名の参加者を迎えた第31回おかやまじっく。

30回という節目を迎え、3周年を控えた、3月の大会。3ゾロといっても過言ではない、今回のおかやまじっく決勝ラウンドの優勝を賭けた席に座る2名。

赤緑モンスターという禁止改定を受けてなお勢いを増す旬のアーキタイプに《自然に仕える者、ニッサ/Nissa, Steward of Elements(AKH)》を加え盤石の体制をとるヒラタ ユウキ。マジックをエンジョイしつつ勝負する姿勢《スタイル》はおかやまじっくの理想を体現しているプレイヤーである。

相対するは環境を決定づける有力カードの一つ、《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》による導きに従う青黒コントロールを駆るヤマモト タカシ。過去におかやまじっくの優勝経験もある、自分の流儀《スタイル》を大切にするプレイヤーだ。

おかやまじっくにも多く参加していただいている二人は決勝卓に座るもリラックスモード。雑談をしながらゲームの準備をちゃくちゃくと進める。緊張の瞬間というよりは、マジック・ザ・ギャザリングというゲームを全力で楽しむといった趣だ。

両者シャッフルが終わった。予選ラウンドの順位に則り、先手はヤマモト。両者初手の7枚を確認すると共に、力強くキープを宣言。

一体どんなカードが飛び出すのか。空前絶後、前後不覚のガチンコバトルが、いま始まろうとしている…!

Game 1

青黒の2色ランドをセットし、ターンを静かに渡すヤマモト。ターンを受けとったヒラタも青赤の2色ランドをセットし、ターンを返す。高速化していたという噂のスタンダードには似つかわしくないと感じてしまうような静かな立ち上がりだ。

と思ったのもつかの間。良い意味で裏切られた。

土地を伸ばして受けの体制を作るヤマモトに対し、ヒラタが後手2ターン目に仕掛ける。森をセットしたヒラタは《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》をプレイ。

飛行、警戒、パワー4というコストパフォーマンスは場へのインパクトが大きい。搭乗コストも3と低く、次のヒラタが意気揚々と走らせる可能性が濃く、ヤマモトに対応を迫る。

しかしヤマモトは慌てることなく、《島/Island(RIX)》をセットし、動けるものなら動いてみろと、ヒラタにターンを渡す。

その期待にヒラタは応え、《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》をプレイ。探検に成功した《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》は3/2となり《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》に搭乗する資格をゲット。早速乗り込み、果敢にヤマモトを攻め立てる。

手札を温存していたヤマモトからはもちろん回答である《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》を《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》に向けて飛ばす。二度目の搭乗を防ぐ形で凌いだヤマモト。自身のターンにはセットランド、エンドを繰り返す。

さらに怒涛の勢いで攻め立てるヒラタ。続くターンに、またもや《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》を呼び出し、探検を行う。そしてトップから姿を見せたのは《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》!

またもや探検にて+1/+1カウンターを得た《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》が《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》を発進させる。たまらずヤマモトは2枚目の《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》の対象を《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》に向け撃墜する。

ヒラタは戦闘終了後、続く第2メインに2枚目の《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》をキャスト!これは通せぬと判断したのか、ヤマモトは《検閲/Censor(AKH)》を用いて却下する。対応を迫るヒラタ、それをさばくヤマモト、と両者譲らぬ攻防がせめぎ合う。

静かに土地をセットしてターンを返すヤマモト。順調にターンが経過し、これで9ターン目。自身のターンには青黒コントロールらしく着々と土地を伸ばす。

なんとか場を圧倒したいヒラタ。ヒラタも同じく土地が順調に伸び、先程顔を見せた《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》を引き込み突破を狙う。場に残った《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》で攻撃をしかけ、3点を通す。

続く第2メインには《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》を唱えることに成功したヒラタは第1のプラス能力を起動。ライブラリーの一番上が土地だったヒラタは唱えることを選ばず、ヤマモトに2点のダメージを与えることを選択。これで都合5点のダメージを稼いだヒラタ。

しかしターン終了時、優先権を得たヤマモトが動く。4枚の土地からマナをひねり出し、《ヴラスカの侮辱/Vraska’s Contempt(XLN)》で《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》から反逆の芽を摘む。

まだ静かに土地を伸ばしてターンを返すヤマモト。不気味に持ち続ける手札から放たれれるプレッシャーをものともせず、ヒラタは《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を速攻で攻撃させる!

これ以上のダメージは危険水域に近づくと判断したのか、ヤマモトが、《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》を《渇望の時/Moment of Craving(RIX)》で除去しながらのライフゲイン。ダメージを2点に押し止める。しかしヒラタの目はまだ死んでいない!手札と相談し、続く矢を備えながらターンエンド。

ヤマモトは変わらずセットランドし、エンドを迎える。不気味なほどに自身のターンは静かである。

《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を相棒にしたヒラタのターン。戦闘前メインで動くことなく、《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》でアタックし、ヤマモトのライフを11点まで落とし込む。そしてそのままターンが終わる…と思いきや、ここでヤマモトが攻勢に打って出る!

ヤマモトは潤沢なマナベースから《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》をキャスト!現状、妨害手段のないヒラタは通すしかない。無事着地した《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》の能力の対象は《ヴラスカの侮辱/Vraska’s Contempt(XLN)》!《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を撃墜。しかしヒラタも返す刀、《削剥/Abrade(HOU)》のアーティファクト破壊モードで《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を対処し、ヤマモトにクロックを残させない。

ターンを獲得したヤマモトは、またもや土地をセットし、ターンを返す。

《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》からエネルギーカウンターを獲得したヒラタ。しかし、ターンエンド時にヤマモトが《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》で難なく対処する。土地を伸ばし続けるヤマモトに挑むヒラタ。ヒラタのクロックを許さないヤマモトの構図は崩れることがない。

続くヒラタの軍勢から飛び出すのは《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》。場持ちの良いクロックをヤマモトは《不許可/Disallow(AER)》し、クロックが確保できない。その後も2枚目の《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》を呼び出しエネルギーを獲得するも、ヤマモトの《廃墟の地/Field of Ruin(XLN)》が、ヒラタの《霊気拠点/Aether Hub(KLD)》を破壊。エネルギーの使い途を閉ざしてしまう。

生き残った《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》がヤマモトに向かって攻撃を図るも、瞬速で《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》!墓地に落ちていた《至高の意志/Supreme Will(HOU)》をドローモードで唱え手札を補充し、《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》をガッチリ受け止める。

さすがのヒラタも5点クロックは見逃せないか、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》2枚で巨人を陥落させにかかる。だがしかし2枚目の《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》を《検閲/Censor(AKH)》されてしまい、場に《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》が踏みとどまった。

流れを引き寄せたかのように見えるヤマモト。雌伏のときは終わったとばかりに《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》で攻め上げる。ライフの1/4を失ったヒラタにプレッシャーを与えるかのように、《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination(AKH)》で手札を補充。

なんとか流れを変えたいヒラタがドローをするも、アクションをとらないままターンを返すことになってしまう。ヒラタの軍勢を抑え込むことに成功したヤマモトは《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を突撃させダメージを重ねる。戦闘後メインにヤマモトの手札からは《死の権威、リリアナ/Liliana, Death’s Majesty(AKH)》!

やや逡巡するヤマモトであったが、《死の権威、リリアナ/Liliana, Death’s Majesty(AKH)》の小マイナス能力を起動。《削剥/Abrade(HOU)》によって破壊された1体目の《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を戦場に呼び戻し、《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination(AKH)》でさらに手札を補充し、ターンを終了。

場には10点クロック、ヒラタのライフは10点。

プラマイゼロの崖っぷちに立たされたヒラタは祈るようにドローをするが渋面のまま。解決策を手に入れられなかったヒラタは投了を宣言した。

ヤマモト Win!

ヤマモト 1 – 0 ヒラタ

ヒラタの猛攻をしのぎきったヤマモト。コントロールしきった格好になるも、手札に恵まれていなければ一瞬で押し込まれていたことが容易に想像できる。予断を許さないせめぎ合いに、否応なしに高まる緊張。

ゲーム前とは打って変わって両者寡黙にサイドボードとの入れ替えを検討する。3月の夕暮れ。晴れた空から赤い日差しが差し込んでくる。念入りなサイドボーディングを先に終えたのはヒラタ。シャッフルを始め、次の一戦に備える。最後の1枚に悩んでいたヤマモトも選択を終了し、サイドボードの枚数を15枚とカウントした。

Game 2

後がないヒラタ。初手を確認すると苦笑しながら、

「…よっわ」

ここでその呟き。三味線なのか、本心か。見えない盤外戦が繰り広げられているのか。悩みながらもキープを宣言するヒラタ。ヤマモトは平静にキープを宣言。

先手はヒラタ。《植物の聖域/Botanical Sanctum(KLD)》からスタート。ヤマモトも《異臭の池/Fetid Pools(AKH)》と安定したマナベースを構築する。

しかし両者ドローゴーが続く。ヤマモトは1ゲーム目と同様の動きだが、ヒラタは攻勢のとっかかりが掴めない。

ファーストアクションはヒラタから。格ゲーではないのでボーナスはつかないが、《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》を召喚し、飛行機械トークンを生成。ヤマモトは《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》が視界に入らないのか、《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination(AKH)》を2枚唱え、ハンドの濃度を上昇させる。

クロックが保持できたヒラタは《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》と飛行機械で3点を刻む。ヤマモトは《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn(AER)》でゲーム速度の減衰を目論む。《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn(AER)》の攻撃は、《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》と飛行機械が止めることで場が更地となる。

有効牌が欲しいヒラタにデッキが応えた!《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を引き込んだヒラタ。だが《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を押し通そうとするも、ガードを下げないヤマモトから《本質の散乱/Essence Scatter(AKH)》で散り乱れてしまう。

クロックを追加し続けるヒラタ、除去とカウンターで守るヤマモト。しかし、ゲームは終盤に差し掛かるにつれて、ヤマモトの得意とするフィールドに切り替わっていく。

均衡はヤマモトが奉戴する神によって崩された……そう《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》だ。神の顕現に回答を用意できないヒラタ。致命的なターンをヤマモトに返してしまう。

《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》が《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》、《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》、《才気ある霊基体/Gifted Aetherborn(AER)》と墓地から次々に釣り上がる。見つめることしかできないヒラタはスカラベがもたらす毎ターンの責め苦にあえぐ。

4/4が3体の12点クロックに加えて3点ルーズ+占術3のもたらすアドバンテージの大きさは計り知れない。止めることができないと悟ったヒラタは…投了を宣言したのであった。

ヤマモト Win!

ヤマモト 2 – 0 ヒラタ

「第31回 おかやまじっく」の優勝はヤマモト タカシさんです!
おめでとうございます!

ヤマモト タカシ 使用デッキ『青黒コントロール』
https://pbs.twimg.com/media/DYlayRaVwAAUKeg.jpg

ヒラタ ユウキ 使用デッキ『赤緑t青モンスター』
https://pbs.twimg.com/media/DYlaPm-VwAEq4no.jpg

※カード名の相違があったので、《本質の散乱/Essence Scatter(M13)》を《検閲/Censor(AKH)》に、《産業の塔/Spire of Industry(AER)》を《霊気拠点/Aether Hub(KLD)》に修正いたしました。(2018/03/19 15:07)