第36回「おかやまじっく」決勝戦: Tomoaki Okamura(岡山) vs. Shouta Fujii(岡山)

この第36回おかやまじっく、筆者ぱなっぷが今日一番注目していたプレイヤーが…決勝戦に駒を進めた。彼の名はオカムラ トモアキ。

そう彼はおかやまじっくにおいて、三ヶ月連続で決勝戦の舞台に上ってきた。

そして、帰ってきた。三度目の正直を実現するために。

「今度こそ…」普段クールな彼が、この会場の誰よりも「優勝」の二文字を熱望しているであろうことは容易に想像できる。

予選ラウンドにて決勝ラウンド行きの勝利が確定したとき、筆者はとても嬉しくなり彼とハイタッチを交わした。

お帰りオカムラ、そして…行って来い!!!

そんな対面に座るのはフジイ ショウタ。

彼もまた過去三回のおかやマジック優勝経験がある。そのレコードを4にするべく、オカムラと対峙する。

使用するデッキはオカムラは青単。

フジイはボロスウィニー。

両者のデッキをみてわかることだが「ビートダウン対決」。

正真正銘、”殴り合い”である。

しかし殴り合いと一言に行っても、ダメージレース、アドを捨ててのテンポ、コンバットトリックとそのケア、アタックに行くクリーチャーの数…考慮することが多く、戦う当事者たちにとって、解くことが難しい複雑なパズルだ。

だが、これこそがマジックの魅力の1つだと筆者達は考えている。

そして難解なパズルが解けるころ、魅力的な試合をきっとこの二人は見せてくれるだろう。

両者は向かい合い、固く握手して言葉を交わす。

『お願いします!!!』

Game 1

予選順位により岡村が当然である先手を宣言。1度のマリガンを経て、6枚でキープ。

対するフジイは7枚でキープを宣言する。

静かに場を整える両者。嵐の前の静けさか。

島を2枚置いてターンを返した岡村は、藤井のアタックに来た《癒し手の鷹/Healer’s Hawk(GRN)》を《マーフォークのペテン師/Merfolk Trickster(DOM)》を瞬速で唱え、能力を失わせて迎え撃つことに成功。岡村にとってはなかなかの立ち上がりとなった。


藤井も《錆色翼の隼/Rustwing Falcon(M19)》、《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant(RIX)》と展開。両者好調な滑り出しを見せている。



3ターン目を迎えた岡村は《島/Island(GRN)》を三枚寝かせ《大嵐のジン/Tempest Djinn(DOM)》!

岡村は残念ながらこれで土地がストップしてしまい、折角の《大嵐のジン/Tempest Djinn(DOM)》も育たず3点で殴るのみ。

ビートダウン対決はアクション数、テンポがものを言う。

現時点では両者互角であったが、藤井の4ターン目にその均衡が破られる!

赤マナを含む土地を4枚を寝かし「その」カードを置いた…。

《実験の狂乱/Experimental Frenzy(GRN)》

次ターンにはその効果により山札の上から、1マナのクリーチャーを2枚唱え、盤面がどんどん複雑になっていく。

オカムラも土地こそ止まっているが、《排斥する魔道士/Exclusion Mage(M19)》により《錆色翼の隼/Rustwing Falcon(M19)》を退け、《大嵐のジン/Tempest Djinn(DOM)》が往く道をこじ開けようとする。

しかし藤井のターンデッキの上より現れるは《敬慕されるロクソドン/Venerated Loxodon(GRN)》!!

これによりクリーチャー達を強化するが、オカムラの度重なる《大嵐のジン/Tempest Djinn(DOM)》の攻撃によりライフが9まで落ちこんでしまう。

この時点での岡村のライフは18。アクション数はフジイが大きくリードしていたのだが、なかなか思い通りに攻めきれていない。

フジイは4/4の《敬慕されるロクソドン/Venerated Loxodon(GRN)》を単身レッドゾーンに送り込むも、岡村は至極冷静に2/2の《マーフォークのペテン師/Merfolk Trickster(DOM)》と2/2の《排斥する魔道士/Exclusion Mage(M19)》でダブルブロック。

ダメージ割り振りの優先順位を確認しての《潜水/Dive Down(XLN)》!4/4を一方的に討ち取りに行く、魅せるプレイ。

しかし藤井も《不屈の護衛/Dauntless Bodyguard(DOM)》で4/4に破壊不能を付与して守り抜く。

一進一退の熱い攻防が繰り広げられ、ギャラリーも固唾を呑んで見守る。

そして遂にフジイは《実験の狂乱/Experimental Frenzy(GRN)》を自身の効果によって破壊し…溜まった手札をリソースに昇華させた!

手始めにと《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant(RIX)》をプレイし、岡村に《魔術師の反駁/Wizard’s Retort(DOM)》を切らせると、続けて《英雄的援軍/Heroic Reinforcements(M19)》を唱えると岡村はそれをも《呪文貫き/Spell Pierce(XLN)》で落とし、リソースを振り絞って懸命に対抗する!

だが…土地が3枚で止まったしまったオカムラの抵抗もここまでだった。

《大嵐のジン/Tempest Djinn(DOM)》へのブロッカーになる飛行クリーチャーを十分に立たせながらの藤井のクリーチャー達の猛攻を岡村は受け切れなかった…。

フジイ Win!

オカムラ 0 – 0 フジイ

まだ一本目なのに両者の疲労感は横の筆者やギャラリーにも見て取れる。皆が大きく息を吐いた…それほどの熱戦だった。

そして対峙する両者は、静かにサイドボードに手を伸ばす…。

Game2

両者オープニングハンドを受け入れ、7枚でのゲームが始まった。

フジイは1ゲーム目と同じく《癒し手の鷹/Healer’s Hawk(GRN)》を繰り出し、オカムラは2ターン目に《夜帷のスプライト/Nightveil Sprite(GRN)》を場に繰り出す。

返すフジイは2ターン目に《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant(RIX)》+《軍団の上陸/Legion’s Landing(XLN)》のベストムーブ!

これによって2ターン目にして、パーマネントを4枚展開とまさにブン回り!

オカムラは《夜帷のスプライト/Nightveil Sprite(GRN)》に《執着的探訪/Curious Obsession(RIX)》をエンチャントし攻撃!

この攻撃はブロックされることなく、オカムラは追加で1枚ドロー。なんとか巻き返したい気持ちが表情に表れている。

フジイは《不可解な終焉/Baffling End(RIX)》で、エンチャントされた《夜帷のスプライト/Nightveil Sprite(GRN)》を排除。

オカムラは攻め手を失ってつらそうだが、迎えた5ターン目に土地をセット。

覚悟を決めたように《大嵐のジン/Tempest Djinn(DOM)》と《旅立った甲板員/Departed Deckhand(M19)》を展開しこれにより手札を使い切る

フジイも《大嵐のジン/Tempest Djinn(DOM)》を《裁きの一撃/Justice Strike(GRN)》で沈め、盤面をイーブンに戻す。

そう『盤面』はイーブンなのだ。

オカムラは手札を使い切っている。

藤井にはまだ手札にリソースが残っている、いや山札というべきか…。

またも置かれた


「コーヒーは発明の偏屈な叔母なのだ」(意味不明)

山札の上から《不可解な終焉/Baffling End(RIX)》、《議事会の裁き/Conclave Tribunal(GRN)》が駆けつけ、オカムラの盤面を《霧まといの川守り/Mist-Cloaked Herald(RIX)》のみとする!

しかしオカムラはこれまでの決死のアタックが功を奏しており、フジイのライフを残り3としていた。

フジイはライフが危険水域かつ、山札の上が土地であったため実験の狂乱を爆破させ、手札から《アダントの先兵/Adanto Vanguard(XLN)》を召喚、これによりフジイはフルタップでターンの終了を宣言。

そしてその刹那…オカムラがここだ!と動いた。

《危険な航海/Perilous Voyage(XLN)》を《議事会の裁き/Conclave Tribunal(GRN)》に差し向けた!

解決された《危険な航海/Perilous Voyage(XLN)》により、戦場に帰還するは《マーフォークのペテン師/Merfolk Trickster(DOM)》!!!

その効果で《アダントの先兵/Adanto Vanguard(XLN)》をタップさせ、ターンを得ると残ったフジイのライフ3点を2体のマーフォークが見事刈り取ったのだった!!!

オカムラWin!

オカムラ 1 – 1 フジイ

凄かった、あの劣勢から見事捲くったオカムラ。

筆者とギャラリーと対戦相手のフジイですら、惜しみなく賞賛の声をかけた。

しかし後1戦…。

じきに始まる3ゲーム目でこのマッチの勝者、つまり第36回おかやまじっくの優勝者が決まるのだ。

両者のしばしの談笑の時を得て始まった…

Game3

今日という日の最後の試合にふさわしく両者7枚をキープ

フジイはみたび《癒し手の鷹/Healer’s Hawk(GRN)》から、2ターン目に2/1昇殿《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant(RIX)》、《軍団の上陸/Legion’s Landing(XLN)》と繋げまたしてもブンブンである!!!

これにはオカムラもたじたじ。

《危険な航海/Perilous Voyage(XLN)》を1/1トークンに差し向け、何とか《軍団の上陸/Legion’s Landing(XLN)》を《一番砦、アダント/Adanto, the First Fort(XLN)》に変身することを阻止する。

さらにオカムラは《排斥する魔道士/Exclusion Mage(M19)》で《癒し手の鷹/Healer’s Hawk(GRN)》をバウンス。

「戦いにおける勝利は、戦うに値する者を知ることから始まる。」(ドヤ顔)

そして迎えたフジイのターン。

バウンスされた《癒し手の鷹/Healer’s Hawk(GRN)》を出し直し、新たに《軍団の上陸/Legion’s Landing(XLN)》をプレイし、古い《軍団の上陸/Legion’s Landing(XLN)》を墓地へと移動させる。

そしてクリーチャーが次々とタップされていく……これはアタックでは…ない!

つまり…

『ゾウさんが好きです、でも…………』

マジでブンブンである!!!

そして次のターンにすべてのクリーチャーをレッドゾーンへ!!!

これにはまいった、とオカムラは悔しさを押し殺し…友の優勝を祝福したのだった。

フジイWin!

オカムラ 1 – 2 フジイ

第36回おかやまじっく、優勝はフジイ ショウタに決定!通算4回目の優勝おめでとうございます!

(左:フジイ 右:オカムラ)

そしてオカムラさんも三大会連続準優勝となってしまいましたが、いつもすばらしい試合をありがとう…!

きっとまたそう遠くない機会に、この舞台に帰ってくる事を信じて…ずっと応援しています バイかずなり、ぱなっぷ!!!!