第9回決勝カバレージ:Yuma Shiota Vs Jun Moriya

Author:ジェス川&ナイトー
2016/04/27(水) 24:00

イニストラードの登場はスタンダードにどのような影響を与えたのだろうか?
その答えの一つがここにあった。

第9回おかやまじっく、参加者29名。「イニストラードを覆う影」の登場と「タルキール覇王譚」「運命再編」のローテーション落ちにより、メタゲームが一変した。
多種多様なデッキがひしめく環境をくぐり抜け、決勝卓についたのはシオタユウマ選手とモリヤジュン選手だ。

シオタユウマ選手はかつて日本代表を務めた経験もある実力者。使用デッキは「プロツアーイニストラードを覆う影」で活躍していた赤緑ゴーグルランプ。
マナブーストから放たれる圧倒的なボードコントロールが強みで、それに独自のチューンを加えてこの大会に挑んだ。
モリヤジュン選手もまたプロツアーの経験がある歴戦の強者。使用デッキは赤緑アグロ。
「《アーリン・コード》を使いたかった」という一心で組み立てられてたオリジナルデッキだ。

両者ともデッキカラーは同じ赤緑だが、全く異なるアプローチとなっている。シオタが制圧するのかモリヤが殴り倒すのか。

スイスラウンドの成績によりシオタ選手は先攻を選択。両者7枚キープ宣言と共に戦いの幕は上がった。

Game 1

1ターン目、両者とも土地をセットのみで動きはなく、2ターン目にシオタ選手が《苦しめる声》を唱える。

2ドローの後、《コジレックの帰還》を墓地に送った。
それに対するモリヤ選手は《薄暮見の徴募兵》を戦場に送り込みターンを終える。

3ターン目でシオタ選手は魔巧の恩恵を受けた《ニッサの巡礼》を唱え、マナ基盤を整える。
一方モリヤ選手が《薄暮見の徴募兵》で攻撃をしシオタ選手のライフを18に減らす。
その後《不屈の追跡者》を召喚。シオタ選手の体制が整う前に打ち倒さんとする勢いだ。

4ターン目、シオタ選手は《面晶体の這行器》を置いて、《苦しめる声》を唱える。
対してモリヤが切った手札はイニストラードで登場した新プレインズウォーカー
アーリン・コード》!
すぐに能力を起動し《不屈の追跡者》の攻撃力を上げる。イニストラードの生物たちがシオタ選手に襲い掛かる。
シオタ選手のライフは残り11。このままモリヤ選手のクリーチャーたちが押し潰すのだろうか。

—-シオタ選手が戦場に送り込んだ一体のエルドラージにより戦場は大きくひっくり返った。
正しくは「一体のエルドラージと1枚の墓地の呪文によって」だ。

世界を壊すもの》と《コジレックの帰還》―。

  

異次元の超生物の脅威により、モリヤ選手の手駒は《アーリン・コード》を残して消滅。まさに「世界を壊すもの」の名にふさわしい登場である。

しかし、このまま引き下がるわけにはいかないモリヤ選手。
手札から2体目の《不屈の追跡者》、《アーリン・コード》の能力で狼トークンを呼び出し彼女を変身させて体制を立て直す。

そこからのシオタ選手の行動は「蹂躙」と呼ぶのにふさわしいものだった。
戦場に《炎呼び、チャンドラ》を呼び、X=2の能力でモリヤ選手のクリーチャーを焼き払い、《世界を壊すもの》が無防備な《アーリン・コード》を墓地に沈めた。

モリヤ選手は《不屈の追跡者》の遺した手がかりを調査するも答は引けず苦しそうな表情を浮かべ
ターンを返す。

そこに「情けは無用」と言わんばかりにシオタ選手はチャンドラのエレメンタルと《世界を壊すもの》で猛攻を仕掛ける。
このターンにトップした2体目の《世界を壊すもの》を呼び出した。

さらに土地を破壊され、圧倒的な制圧力を前にモリヤ選手はここで投了を宣言した。

Shiota 1-0 Moriya

Game 2

両者とも慣れた手つきでサイドボーディングを終わらせ、モリヤ選手の先攻。シオタ選手は1マリガン、モリヤ選手は2マリガンを宣言。

互いに1ターン目の動きはなく、2ターン目シオタ選手は《苦しめる声》で2ドローの後、土地を墓地に落とすだけだった。

3ターン目モリヤ選手は少し考えた後、《不屈の追跡者》をキャスト。
シオタ選手がそれを《焦熱の衝動》で焼き払う。

4ターン目モリヤ選手は《巨森の予見者、ニッサ》を召喚し《》を手札に加える。
シオタ選手は魔巧を持った《ニッサの巡礼》のをキャストし、土地を伸ばした。
ここまで互いに目立った動きはないが長期戦になればなるほどシオタ選手が有利になる。その前に叩きたいモリヤ選手としては若干不利な流れだろうか。

5ターン目、モリヤ選手の《巨森の予見者、ニッサ》の一撃がシオタ選手のライフ18に減らし、その後《不屈の追跡者》を召喚する。
しかし、シオタ選手の《炎呼び、チャンドラ》がX=2でモリヤ選手の生物を焼き払う。このままチャンドラの炎の餌食になるのだろうか。

対するモリヤ選手は《雷破の執政》をキャスト。相手の呪文や効果の対象になると3点のダメージをプレイヤーに与えるドラゴンだ。

今のシオタ選手のチャンドラに対しては有効なカードなのだろう。これが反撃の足掛かりとなるのだろうか。

しかし、またしてもシオタ選手の動きは1枚上手だった。

チャンドラでエレメンタルを出した後、《苦しめる声》で2ドロー1ディスカード。そこから「怒涛」を満たした《巨人の陥落》をX=4で放つ。

物語で2体のエルドラージを撃破した炎が《雷破の執政》とモリヤ選手を襲う。
巨人の陥落》に対象に取られた《雷破の執政》は自身の能力でシオタ選手のチャンドラにダメージを与えて道連れにする。

シオタ選手はモリヤ選手を守っているドラゴンが落ちたところにすかさずチャンドラが遺したエレメンタルで総攻撃を仕掛ける。
これによりモリヤ選手のライフは10になり戦場は無人の荒野となった。

更地となった戦場にモリヤ選手は変異クリーチャーを送り込んでターンを返した。
シオタ選手は《紅蓮術師のゴーグル》を置いて《ニッサの巡礼》をキャストし、さらにマナを伸ばした。着々と準備を整えている。

シオタ選手のターン終了宣言時、モリヤ選手は変異生物を裏返す。
現れたのは《棲み家の防御者》。
彼女の能力により墓地から《巨森の予見者、ニッサ》を回収し、自分のターンに入る。

流れが彼に向いてきたのだろうか、モリヤ選手が引いたのは《炎呼び、チャンドラ》。
戦場に降り立った紅蓮術師は意気揚々とエレメンタルを呼び出し、《棲み家の防御者》とともに突撃。

シオタ選手のライフは20から11に減った。

ここで押され気味のシオタ選手だがゴーグルの加護か《炎呼び、チャンドラ》をドロー、迷うことなくエレメンタルをモリヤ選手の友軍の紅蓮術師を消し炭にした。

紅蓮術師の応酬を制されたモリヤ選手はひるむことなく《巨森の予見者、ニッサ》をキャスト。
森をセットし変身を試みる。その刹那、、
シオタ選手の《紅蓮術師のゴーグル》から放たれた2発の《焦熱の衝動》がニッサと《棲み家の防御者》を撃ち抜いた。

さすがのモリヤ選手も観念したのか「巨人の陥落》で殺してくれ」と懇願。

その言葉が届いたのかシオタ選手の《炎呼び、チャンドラ》は自ら能力で《巨人の陥落》をシオタ選手に手渡し《紅蓮術師のゴーグル》からキャスト。
X=10の火力2発がモリヤ選手を介錯した。

Shiota 2-0 Moriya

「イニストラードを覆う影」参入後のおかやまじっくを制したのは決勝で《炎呼び、チャンドラ》の応酬を制し圧倒的な制圧力を見せつけたシオタユウマ選手となった。

そして決勝で惜しくも敗れたものの《アーリン・コード》の新たな可能性とイニストラードの生物たちの強さをデッキに現したモリヤジュン選手の構築力と健闘を称えたい。

二人とも熱いゲームをありがとうございました。
そしてシオタユウマ選手優勝おめでとうございます。

“Congratulations!!”