第32回「おかやまじっく」決勝戦: Tsuyoshi Konda(香川) vs. Akira Fujii(岡山)

2018年、4月29日。岡山駅西口から徒歩4分のオルガホールで開催される草の根非公認大会の「おかやまじっく」も今回で32回目を数える。

今回は翌日(4月30日)に開催される「瀬戸内構築王決定戦」のトライアルも兼ねており、優勝者には優遇権が贈られることが決まっている。自然とその席を目指す戦いは激化することが予想され、決勝戦を迎えるまでに数々のドラマが存在した。

参加者は22名、ドミナリア発売直後に開催されるスタンダードフォーマットの大会ということで、新規の注目カードが参加者全員のデッキに投入されていたことが特徴だ。

特に会場で目立っていたのは《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria(DOM)》、《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza(DOM)》、《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》が搭載されたコントロール型のデッキが多く見られた。

想像の斜め上を行く、混沌としたメタゲームを勝ち上がったのは岡山県下でも精力的にマジック・ザ・ギャザリングに取り組んでいることでお馴染みの有名プレイヤーでもあるフジイ アキラ。『グリクシス即席』を相棒に、確かな実力で勝ち上がってきた。

対するは、なんと《香川からの刺客、コンダ ツヨシ》。コンダは対戦相手のフジイと同様に、競技レベルのプレミアイベントへ意欲的に参加するプレイヤーだ。フジイのリーサルウェポンは『マルドゥ機体』。今更このデッキの説明は不要だと思われる。『マルドゥ機体』もドミナリア加入による、新たな切り札を手に入れていた。

ってかこのデッキまだ強くなるの!?やばない!?by筆者パナップ

勝利を手にするのは、瀬戸内海を超越してきた香川のコンダか、地元岡山の意地を見せるフジイか?…戦いの火蓋は、静かに切って落とされた。

Game 1

予選ラウンドの順位により、フジイが先手を選択。両者ともに7枚の初手をキープ。しっかりと握手し、ゲームが開始された。

フェアプレーの精神を感じさせる紳士的な紳士的な固い握手

フジイのファーストアクションは《宝物の地図/Treasure Map(XLN)》。これにコンダは《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》繰り出し、両者好調な滑り出しを決める。

フジイが《宝物の地図/Treasure Map(XLN)》を起動しながらドローの質を高めると、コンダは《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》で占術2でライブラリーを掘り進めた後に《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》でアタックを開始する。

ラッシュの前兆を感じたのか、フジイはデッキの顔とも言える《策謀家テゼレット/Tezzeret the Schemer(AER)》をプレイ!

《策謀家テゼレット/Tezzeret the Schemer(AER)》の小マイナス能力で、コンダの《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》を除去し、コンダのラッシュに待ったをかける。

しかし、コンダも返す刀で《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》をX=2でプレイ。バリスタビームで、フジイの防壁であった霊気装置トークン(1/1)を退けながら、《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》の攻撃でテゼレットを沈める。

フジイは2枚目の《策謀家テゼレット/Tezzeret the Schemer(AER)》をプレイして、小マイナス能力で《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》を除去するも…苦い表情。

その理由はコンダの場には《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》が残っており、2枚目の《策謀家テゼレット/Tezzeret the Schemer(AER)》が、次のフジイのターンを迎える確率は非常に低いからだ。

コンダは予定調和を崩さず、頼みの綱の《策謀家テゼレット/Tezzeret the Schemer(AER)》を葬り去った。この時点で両者の盤面、手札のリソースでは激しく差が開いており、フジイに厳しい展開となっていた。

ここでフジイの我慢が実り、遂に《宝物の地図/Treasure Map(XLN)》が条件を達成し変身!《宝物の入り江/Treasure Cove(XLN)》となり、宝物アーティファクト・トークンを手に入れることに成功。

さらに盤面に存在する、数多のアーティファクトたちの力を即席で利用し、フジイは《艱苦の伝令/Herald of Anguish(AER)》を呼び出し、コンダの手札を削りにかかり、開いてしまったリソース差を埋めにかかる。

極悪なデーモンに居座られてしまってはたまらない、とコンダは自身のターン中に《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》で対処しようとするも、フジイは《金属の叱責/Metallic Rebuke(AER)》で守り切る!

息切れしたコンダを尻目に、フジイは2体目の《艱苦の伝令/Herald of Anguish(AER)》をキャスト。1体はコンダが《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》で破壊するも、2体目までは処理しきれない。

2体目のデーモンにより、リソースを奪いつくされたコンダ。取り返すことのできない差が開いたと観念し、盤面のカードを片付けた。

フジイ Win!

フジイ 1 – 0 コンダ

Game 2

今回も両者7枚のオープニング・ハンドを受け入れ、ゲームを開始する。

コンダが2ターン目に展開した《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》の攻撃を、フジイが《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》で凌ぐ、序盤から激しい攻防で魅せる。

続く攻め手として《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》を繰り出すコンダ。フジイは《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》で応じ、相打ちを成立させる。

ダメージを通せない上に、クリーチャーが場持ちしないコンダだが、試合巧者ぶりを発揮し顔色に出ない。

相対すフジイも『マルドゥ機体』相手に高い水準のライフを維持できていることに、内心は少しホッとしているのではないだろうか。

フジイは《宝物の地図/Treasure Map(XLN)》をプレイし、ターンを終える。

コンダのターン。5枚目の土地をプレイし、静かにフルタップした。場の空気が変わり、コンダから、確かな圧を感じる!…そして手札から1枚のカードをプレイする!

イニストラードを覆う影で仲間になり

『マルドゥ機体』を王者たらしめていた最強の天使

時代の流れと共にスタンダードを卒業していった「彼女」

大天使アヴァシン
《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn(SOI)》

 

…そして、かつてのスタンダード環境にて

最狂かつ最凶、最恐の天使として恐れられた「彼女」

悪斬の天使
《悪斬の天使/Baneslayer Angel(M10)》

「彼女」たちの正統なる後継者

ドミナリアにて新しく仲間となった…彼女の名は

黎明をもたらす者ライラ
《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》!!!!!

ドミナリアのトップレアと名高い天使が

遂に…戦場へと舞い降りた!

フジイはこの天使に対する回答を持ち合わせておらず、一縷の望みをかけて、《宝物の地図/Treasure Map(XLN)》で占術を繰り返すも、望んだカードを引き当てることは叶わなかった。

『負けました』と小さく口にし、片付けるべく盤面へと手を伸ばすのであった。

コンダ Win!

フジイ 1 – 1 コンダ

決着は…3本目へと、もつれ込んだ!

Game3

先手のフジイは、最初に確認した7枚の土地を一瞬で放棄し、マリガンを宣言。次の6枚を、しぶしぶといった表情でキープした。

対するコンダは少し考えた後、最初の7枚を受け入れた。

コンダの初手は

  1. 土地
  2. 土地
  3. 《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials(AKH)》
  4. 《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》
  5. 《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》
  6. 《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》
  7. 《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》

と、強力なラインナップが揃っており、追加の土地が引けるかどうかが分水嶺となる…まさに《ギャンブル/Gamble(USG)》だ。

そしてコンダは、その賭けに

…勝った!!

3ターンともに土地を引き込んだ、コンダのラッシュは「凄まじい」の一言。

2T目:《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》をプレイ。

3T目:《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials(AKH)》をプレイし、《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》でアタック。フジイは《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》にて猛攻を阻む。

4T目:《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》をプレイ。

5T目:5枚目の土地をプレイし、手札の《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》!!…ではなく、落ち着いて《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》の+1能力を起動。そしてライブラリーのトップから現れるのは…

黎明をもたらす者ライラ
《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》ッッッッ!!!

そのままライブラリートップから現れた《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》をプレイし、圧倒的な盤面に仕上げたコンダ。

フジイも《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》を《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》に打ち込み、葬り去る。盤面を押し返すべく、ワンテンポ思案し、ターン終了を宣言。

6T目:再び《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》の+1能力でライブラリートップをめくると…

黎明をもたらす者ライラ
《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》ッッッッ!!!

フジイも「これには参った」と苦笑い。コンダの勝利を讃えたのだった!

コンダ Win!

フジイ 1 – 2 コンダ

第32回、おかやまじっく。優勝したのは《香川からの刺客、コンダ ツヨシ》に決定!おめでとうございます!

明日の瀬戸内構築王での活躍を岡山から応援いたします!

遠くからお越しいただいた香川の方たち、いつも参加してくださる方や、本日初めましての岡山の皆様に心からの感謝を。

来月でおかやまじっくは3周年を迎えます。

これからも皆様に楽しく読んでいただけるカバレージを目指し、スタッフ一同、一層の努力をして参ります。

またね

by パナップ&カズナリ