第29回「おかやまじっく」決勝戦: Jun Moriya(岡山) vs. Kentaro Higashi(岡山)

2018年1月28日、新年あけて初の開催となった「おかやまじっく」。今回の開催で28回目を数え、雪がちらつく極寒のなか、参加者はなんと23名と予想を大きく上回った。多くの方々にご参加いただけた。本当に嬉しい限りだ。この場をかりて、お礼申し上げます。

さて、先日公式にて発表されたスタンダードにおける禁止制限改定によって衝撃を受けたプレイヤーは多いだろうが、その衝撃と同じくらいプレイヤーにとって魅力的だったのが新セットであるイクサランの相克であったと思う。

様々なアーキタイプが咲き乱れるなか、決勝戦に駒を進めたのはこの2人。

予選ラウンドを5位で通過した「マルドゥ機体」を操るヒガシ ケンタロウと、予選ラウンドを7位で通過した「緑黒で構成されたビートダウン」を操るモリヤジュン。両者ともにお「おかやまじっく」優勝経験もある、実力者である。

ヒガシ氏は岡山県北に位置する津山市を中心に活動する「津山TCG会」のメンバーでもあり、マジック・ザ・ギャザリングの地域コミュニティに貢献する熟練プレイヤーだ。

モリヤ氏は学生時代から精力的にマジック・ザ・ギャザリングをプレイ。構築理論から実践的なプレイング、遠征に行く行動力などマジックに対する真摯な姿勢から慕うプレイヤーも多い。

*おかやまじっく公式Twitterに両者のデッキリストが写真でアップされております
モリヤ氏(https://twitter.com/okayamagic/status/957539886734585856)
ヒガシ氏(https://twitter.com/okayamagic/status/957539282100436992)

日本列島を歴史的な寒波が襲うなか、アグロなデッキを手に勝ち上がってきた両者…果たして”先に相手を殴り倒す”のはどちらか?!

Game1

ゲームの口火を切ったのは先手のヒガシ。
2ターン目に《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》を繰り出し占術2を行いゲームプランを組み立てる。
返すターンでモリヤも《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》で応じ殴り合い必死の激しい戦いを予感させる…しかし激しい戦いとは、一瞬でゲームが終わることをも意味している

ヒガシは盤面に《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》をプレイし、《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》でクロックを刻み始め、まずはダメージレースを優位に運ぶ。

その後モリヤは《緑地帯の暴れ者/Greenbelt Rampager(AER)》を出し入れさせながら、《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》に搭乗し強烈にアタック。殴られたら殴り返すのがマジックだ、といわんばかりの激しい応酬が展開される!

さらに、モリヤはその後に《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》をプレイ。《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》ヒガシのクリーチャーを迎え撃つ作戦をとり場を盤石と化していく。

しかし、ヒガシはモリヤの思惑を《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》にてはねのけ、更に前のめりにダメージを叩き込んでいく!

モリヤもイクサランの相克にて手に入れた新戦力である《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger(RIX)》にて盤面の押し返しを図るも、ヒガシが《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger(RIX)》に打ち込むは《木端+微塵/Cut+Ribbons(AKH)》!!!

モリヤもヒガシがレッドゾーンに送り込むクリーチャーを迎え撃とうとするも、手札から公開された《稲妻の一撃/Lightning Strike(XLN)》によって、サイドボードに手を伸ばすことを余儀なくされるのだった。

ヒガシ 1 – 0 モリヤ

一本目を僅か7分間で終えた両者がサイドボーディングを開始。緊張の糸は張り詰めたまま、静かにカードを取捨選択していく。

「7分」というわずかな時間の中で行われた濃密なダメージレースは、至近距離で観戦していた筆者の心を躍らせる…それはこの試合を観戦していたプレイヤー達も同様であるだろう。…2本目の試合が楽しみだ。

Game2

先手のモリヤが速く静かに7枚をキープ宣言。…それを聞いてヒガシは少し考える。ポーカーフェイスのモリヤからは思考を読み取れない。表情を伺っていたヒガシは手札に目線を落とし、自らの7枚を受け入れキープを宣言。

2ゲーム目のファーストアクションは、モリヤが《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》をプレイ。CIP能力である「探検」が成功し3/2となる!

さらに次のターンには《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》を場に出し、3枚目の土地はおけなかったものの、すぐさま攻勢に打って出る!続くターンには3枚目の土地を引き込むことに成功し、更にプレイした《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger(RIX)》が4枚目の土地をモリヤに届け、正に一石二鳥!流れるようなスムーズな展開に眼を見張ってしまう。

1戦目と打って変わり、「受け」る側となったヒガシだが、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》から《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》とつなげ、3点のボーナスと併せてアタック!必死にモリヤの攻めに食らいついていく!

ゲームが進み、一時、モリヤの盤面が《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》だけになるも、《緑地帯の暴れ者/Greenbelt Rampager(AER)》を使った”乗り逃げ”テクによるアタック、そして戦闘後メインフェイズによる《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》と《緑地帯の暴れ者/Greenbelt Rampager(AER)》を出し直しブロッカーを確保する見事な手順。

淀みない一連のプレイを目の当たりにしたヒガシの口からは思わず

「……上手い。」

と、声が漏れた。

《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》は《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》にて対処できたヒガシであったが、続く《牙長獣の仔/Longtusk Cub(KLD)》と併せて盤面に残った戦力に対する回答は持ち合わせていなかった。

ヒガシ 1 – 1 モリヤ

終わって時間を確認してみれば2本目もわずか「9分」で決着。1本目とあわせて16分と、筆者のメモを取る手がちぎれそうになるほどの怒涛の勢いで展開するゲームメイクに目が離せない。…2人が雌雄を決する決勝戦は、泣いても笑っても3本目が最後となる。

そこにどんな結果が待っていようともそれが「決勝戦」だ。たった2人だけが立つことが許される、至高の舞台…大げさだと思われるかもしれないが、ヒガシ、モリヤの高まった緊張感はまさに本物。穏やかな水面下では、激流が渦巻いているものだ。

Game3

手番が交代し、第3ゲームは先手のヒガシが7枚のオープニングハンドを一瞬でキープ。
対するモリヤはテイクマリガン、6枚となった手札を受け入れる。

ヒガシは第1ゲームと同じように2ターン目に《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》を場に出し占術を誘発させる。慎重に上に積む順番を決めた解決から読み取れるのは…「2枚とも」有効牌であることを意味している。

モリヤも返すターンに《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》をプレイ。CIPの「探検」により《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》が公開され、墓地へ送る。+1カウンターが置かれ、手数が1つ増えることとなったモリヤが流れを引き込んだかのように見えた。

次いでヒガシの3ターン目。《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》を戦場に設置し、静かにターンを返す。さらにヒガシの4ターン目、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》を2枚展開し、3/5の《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》に《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》を搭乗させることで強化!ここで力強く宣言したアタック、正にブン回りの様相を呈している!

《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》に辛うじて《帰化/Naturalize(RIX)》を打ち込み、撃墜させることに成功したモリヤ。だがしかし…土地が2枚で止まってしまう不運に見舞われてしまう!マナスクリューにより展開力を失速させたモリヤ、万事休すか。

ヒガシがその隙を見逃すはずがない!…元環境王者と言われた最大級のスピードを有するアーキタイプ、それが電光石火の「マルドゥ機体」である。

ヒガシの《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》と《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》の合わせ技が炸裂し、文字どおり「一瞬」でヒガシが勝利をもぎ取った!!!!!

ヒガシ 2 – 1 モリヤ

雪がちらつく中に開催された第28回おかやまじっく、栄えある優勝は「マルドゥ機体」を操るヒガシ ケンタロウ!!

おめでとうございます!

Written by パナップ

※当初「28回」として公開しておりましたが、2018/01/28 23:36に「第29回」へと修正いたしました。謹んでお詫び申し上げます。